地震や台風など、自然災害が多い日本。
災害時に避難所に行かなければならなくなったとき、「避難所でご飯は食べられるのか?」「トイレはどうなるんだろう?」慣れない環境での生活はどうなるのか?」など不安に感じるのではないでしょうか。
備蓄というと、食料を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
防災食は長期保存できるものや、日常生活でもレトルトとして普段の食事代わりになるものなど、機能も美味しさも揃った商品が充実してきて、選択の幅が広がっています。
その半面、盲点ともいえるのが「トイレの備蓄」です。
一般社団法人日本トイレ協会の調査によると、災害時に備えた備蓄状況について、トイレは22.2%という調査結果が出ており、トイレの備蓄率が低い傾向にあります。
今年、2025年は東日本大震災から14年、また記憶に新しい能登半島地震から1年でもあります。
実際に能登半島地震で避難所への避難を経験し、また介護職の経験から排泄の重要性を実感している筆者が、「防災トイレ」に特化して商品を製造販売している会社に伺い、緊急時のトイレに関しての取材を行いました。
防災トイレの備蓄率の現状

『一般社団法人日本トイレ協会の調査※1によると、災害時に備えた備蓄状況については、懐中電灯66.5%、非常食43.4%に対し、トイレは22.2%という調査結果が出ており、トイレの備蓄率が低い傾向にあります。一方で、大地震によりトイレが使えなくなる場合があることを知っているかという問いに対しては、77.2%が知っていると回答しており、認知に対して備蓄が不足していることが分かります。』
排泄は自身でコントロールができない
「食欲」「睡眠欲」「排泄」日々感じる欲求のうち、自身でコントロールできないものが「排泄」です。
尿意を感じてしまうと、それを止めるのが不可能です。
災害時でも尿意を我慢することはできませんが、そのためトイレ回数を減らそうと水分量を抑えてしまうと、体に悪影響を及ぼす可能性があるので、簡易トイレの備蓄が必要になってきます。
どれくらい備蓄しておくといいの?
災害時に長期間トイレが使えなくなることを想定して、1週間分を目安に備えておきましょう
一週間で必要な備蓄数の目安
夫婦二人暮らしの場合…70回分
夫婦+子供2人の場合…140回
夫婦+子供+両親の場合…175回
※トイレはひとり4~5回、1回の尿量は200~400mlを目安にしています。
二人でも70回分と、想像を上回る数になっていると感じる人も多いのではないでしょうか。
防災トイレは自宅用と避難所用の2種類を備える

地震発生時に避難が不要であっても、ライフラインが止まり、トイレが使えなくなることも十分に考えられます。
家の中と避難所、どちらでも使えるものを備えておくと安心です。

「トイレ非常用袋」
災害時や断水時など不測の緊急事態に備え、トイレの中で活用可能な凝固剤と汚物袋があると便利です。
袋の中で汚物を固めてしまうので、水で流す必要がありません。
実際に筆者宅のトイレで「トイレ非常用袋」を使ってみました




1分ほどでゼリー状に固まりました。
使用後は袋をしっかり縛って破棄します。
災害時は予期せぬ事態になるので、落ち着いて行動ができなくなることがあります。
災害を想定して実際に使ってみて、使い方や使用感を確かめておくと安心です。


凝固剤トイレ非常用袋ともに、ひとつ一つに説明が書かれています。
パッケージにのみ説明を記載している商品が多いのですが、実際はパッケージから出して一個一個使うので、緊急時でも焦ることなく説明を確認しながら使用できて安心です。
防災用品はいざという時にすぐに使えるように、説明がわかりやすく記載されているものがおすすめです。

こちらは避難所など自宅以外で使えるトイレ。
段ボール製で組み立てやすく、便座部分がプラスチック、洗って長く使えるのが特徴です。
簡易トイレの組み立て過程を動画でも紹介しています。
筆者も組み立ててみました

便器部分になる段ボールを立てます。

断水時のトイレ非常用袋(別売り)を中に入れます

便座をかぶせます。
組み立ては女性ひとりでも簡単にできる3ステップ。
さっとトイレが準備できます。

組み立てるだけでなく、実際に座ってみて使い心地も確認します。
段ボール製ですが、しっかりしているので安定感も抜群です。
防災トイレは能登半島地震でも活躍!もしもの備えを
防災トイレの備蓄率はまだ、全体の2割程度です。
日常生活における欲求で、自身でコントロールできないものが「排泄」です。
緊急時はトイレに人が多く駆けつけ、使いたくてもすぐに使えないことも多いです。

防災トイレは能登半島地震でも大活躍しました。
いざという時のために、トイレの備えがあれば安心です。